

Bill Perkins, Richie Kamuca / Tenors Head-On ( 米 Liberty Records LRP 3051 )
ウェストコースト・ジャズは基本嫌いなこともあり積極的に聴くことはないのでビル・パーキンスやリッチー・カミューカのことはあまりよくわかってないが、このアルバムはウエストコースト臭がなく白人ジャズらしいすっきりとした味わいが心地よく、テナーが前面に浮き上がるようにした建付けが素晴らしくて愛聴盤になっている。
ビル・パーキンスは硬質でくすんだ音色でフレーズが直線的な特徴がある一方、カミューカは肉感的でグラマーな音色で柔らかく曲線美のあるフレーズを吹くので、両者の識別は簡単にできる。バトル形式の競争ではなく、恋仲にある男女が穏やかに会話しながら身体を寄せ合って歩いているような印象の演奏だ。
アルバム全体の曲調も穏やかで、上質な生地で作られたマーガレット・ハウエルの服のような質感を連想させるのはピート・ジョリーのピアノトリオがデリケートな演奏で支えているからかもしれない。バックの演奏が雑だったりうるさかったりするとフロントのテナーの上質さが台無しになっただろうが、そうはならずにテナーの良さがそのまま音楽の良さになっているところがこのアルバムの良さだと思う。
2本のサックスだけで構成されたアルバムはそこそこあって、その切り口で語られる際にこのアルバムが取り上げられることはなぜかないけれど、私はこれが筆頭の1つじゃないかと思っている。ビル・パーキンスはジョン・ルイスとやった "Grand Encounter" の中に極め付けの名演があるけど、リッチー・カミューカの素晴らしさはこのアルバムが1番だと思う。