レコードを聴く猫

gooブログから引越して来ました。ブログ名も変更しています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

イタリアを巡る狂騒曲

Chet Baker / With Fifty Italian Strings ( 米 Jazzlamd JLP 921S ) 1959年の秋にチェットが欧州へ演奏ツアーに出かけた際、ミラノ滞在中に現地のスタジオで中規模の弦楽団をバックにスタンダードを収録したアルバムで、レコードとしてはアメリカではJazz…

セシル・テイラーを聴きながら街を歩くと

Cecil Taylor / Garden Part 1, 2 ( スイス hat ART CD 6050, 6051 ) 街中の雑踏を歩いている時に、ふと、セシル・テイラーを聴きたくなる時がある。人々の歩く足音や交わす会話、車の行き交う音などの無軌道な交差がそう思わせるのかもしれないし、そういう…

マサチューセッツのクリスマス

Greg Abate / It's Christmastime ( 米 Brownstone Recordings BRCD 959 ) 最近よく聴いているのが、このグレッグ・アベイト。1947年マサチューセッツ州生まれのマルチリード奏者だ。特にメディアが取り上げるでもなく、誰かが褒めるわけでもない、知名度とい…

厳かなクリスマス

Bing Crosby / Merry Christmas ( 米 Decca DL 8123 ) ビング・クロスビーが歌った "White Christmas" は永遠のマスター・ピースで、おそらく世界で最も売れたクリスマス・ソング。最初の録音は1942年でSPでリリースされ、1945年に再レコーディングされてVデ…

明るいムードのクリスマス

Ella Fitzgerald / Ella Wishes You A Swinging Christmas (米 Verve MG V-4042) タイトルが示す通り、フランク・デ・ヴォル指揮のビッグ・バンドをバックにエラが歌う明るく朗らかなクリスマス・ソング集。家族や親戚、親しい友人が集まる夜の団欒のために、…

日本ビクター盤で聴く "Waltz For Debby" の愉楽(5)

Bill Evans / Waltz For Debby ( 日本ビクター VIJJ-30011 ) 日本ビクターが1993年にリリースした4回目のプレス。93年と言えばCDへの移行が完了した時期で、こういうアナログが出るのは珍しく、帯にも書かれているように「完全限定プレス」だった。レコー…

日本ビクター盤で聴く "Waltz For Debby" の愉楽(4)

Bill Evans / Waltz For Debby ( 日本ビクター VIJ-113 ) 1984年に日本ビクターが再カッティングして3度目にリリースしたアルバム。前回同様、"LoCele Record Company" が持つマスターを使った、とあるが、この会社はネットで調べても何も出てこず、住所が…

日本ビクター盤で聴く "Waltz For Debby" の愉楽(3)

Bill Evans / Waltz For Debby ( 日本ビクター SMJ-6118 ) 日本ビクターが75年にリリースした第2回目のプレス。この時に選ばれたマスターはアメリカのマイルストーン・レーベルのマスターだった。だから、第1回目のペラジャケとは当然音が違う。マイルスト…

日本ビクター盤で聴く "Waltz For Debby" の愉楽(2)

Bill Evans / Waltz For Debby ( 日本ビクター SR-7015 ) 日本で最初にこのタイトルがリリースされたのは1962年ということになっていて、この年に本国アメリカを含め、西側各国でもリリースされたということになっている。欧州ではフォンタナやフィリップ…

日本ビクター盤で聴く "Waltz For Debby" の愉楽(1)

これまでさんざん書いてきたことだけど、日本ビクター盤はとてもいいレコードだ。私はプレスティッジやリヴァーサイドのレコードに関してはビクター盤を聴いて育ったから、特別な愛着がある。最低限の範囲できちんと調整されたオーディオ環境で音量を上げて…

上善は水の如し

John Puchett / Meet John Puckett And His Piano ( 米 King Records 546 ) 部屋の模様替えをする必要があって、レコードの棚卸をしていたら出てきたレコード。持っていることなんて、すっかり忘れていた。正体不明のピアニストで、ネットで調べると過去に言…

日本版仏シネ・ジャズ

Modern Jazz Playboys / Modern Jazz Screen Mood ( 日本 Nitchiku Industrial Company NL 1015 ) 中古漁りはもう壊滅的な状況で、何1つ買えない状態が続いている。コロナ禍前は安レコ・ミドルクラスだったものが軒並み高額盤になり、ちょっと信じられないよ…

剥き出しの姿

Sonny Rollins / East Broadway Run Down ( 米 Impulse! A-9121 ) 1966年1月にコルトレーン・グループから脱退したエルヴィン・ジョーンズ、まだ在籍中だったジミー・ギャリソンらを使って同年5月にピアノレスで制作されたアルバム。プロデューサーの意向だった…

第18回 ショパン国際ピアノコンクールの様子がリアルタイムで観れるなんて

今、ちょうど第18回のショパン・コンクールの予選がワルシャワで開かれていて、その様子がネットでほぼリアルタイムに観ることができる。https://chopin2020.pl/en/5年に1度開かれるこのピアノ・コンクールはおそらく現存するコンクールの中では最も古く、権威…

滋味深いアンサンブル

Milt Jackson / S/T ( 米 Prestige PRLP 7003 ) ミルト・ジャクソンの古い時期のレコードだが、再発がたくさん出ており、よく聴かれている作品だ。スタンダードがメインとなっていて平易な内容であることから、地味ながらも一定の人気がある。ビ・バップ期に頭…

無名で居続けることの素晴らしさ

Tim Siciliano / In The Attic ( 米 Creative Improvised Music Project CIMP #381) Tim Siciliano / Live From The Past (米 Endeavor Records EV-1401) こんなに情報がない人も珍しい。1958年ニューヨーク生まれとのことだが、だとすると、これらの演奏は4…

新しいクラシックとして

John McLaughlin / Time Remembered ~ Plays Bill Evans ( 米 Verve 314 519 861-2 ) 1993年のイタリア録音とのことだが、こんな録音があったなんてまったく知らなかった。マクラフリンのいわゆる「名盤」を聴いていると、なんとなく説教されているような気…

木曜日のテーマ、とは何か

Benny Golson / & The Philadelphians ( 米 United Artists UAL 4020 ) ペンシルベニア州フィラデルフィア出身のミュージシャンが集まって作られたアルバム。パーシー・ヒースはノースカロライナ州生まれだが、その後すぐにフィラデルフィアに引っ越したから…

R.I.P チャーリー・ワッツ

The Rolling Stones / Tattoo You ( 日本 ユニバーサルミュージック UICY-20198 ) 私が初めて聴いたストーンズがこれだった。新譜として発売されて、少し経った後だったと思う。 ストーンズの名前はもちろん知っていたし、ロック界における位置付けや存在意…

夜の記憶

Jakob Bro Trio / Who Said Gay Paree ? ( EU Loveland Records LLR010 ) 2008年5月にコペンハーゲンの Sweet Silence Studios で録音されたギター・トリオによるアルバムで、スタンダード集だ。アルバム・タイトルの "Who Said Gay Paree?" というのはコール…

美しいメランコリア

Duke Ellington / The Duke Plays Ellington ( 米 Capitol T-477 ) エリントンが自作の曲をウェンデル・マーシャル、ブッチ・バラードらとのピアノ・トリオで弾いていく。とても落ち着いた、澄んだ心持ちで弾いている様子が素晴らしい。エリントンらしい諧謔に…

彼女が本当に好きなら

Billie Holiday / The Blues Are Brewin' ( 米 Decca DL 8701 ) ビリー・ホリデイの歌手としてのキャリアは1930年代前半から59年までと相当の期間があったが、それに比べて録音はさほど多くなく、一通り聴くのに時間はかからない。そんな中で最も埋もれている…

メル・トーメが歌うレコード

Artie Shaw / Plays Cole Porter ( 米 MGM E-517 ) レギュラー盤の新入荷コーナーでパタパタしていて、フッと手が止まったレコード。メル・トーメが歌っているではないか。"What Is This Thing Called Love" 、"Get Out Of Town" の2曲だけだけど、こんなとこ…

このアルバムの歴史的位置付けについて

Stan Getz / At Large ( 米 Verve MG V-8393-2 ) 1958年に妻が妊娠し、出産を彼女の故郷であるスェーデンで迎えることにしたスタン・ゲッツは一家で渡欧し、デンマークのコペンハーゲンに居を構えた。当時の北欧でジャズをやるにはこの街が最も適していて、妻…

シンデレラ・ストーリーが生んだ無名の新人たちからの挨拶状

Kenny Clarke / Bohemia After Dark ( 米 Savoy MG 12017 ) 1955年7月14日に初リーダー作を作ることになった1ヵ月前に、キャノンボールはレコーディング・デビューをサヴォイで果たしている。ケニー・クラーク名義になっているが、このレコーディングが行われ…

本当の姿が写る初リーダー作

Jullian "Cannonball" Adderley / Presenting Cannonball ( 米 Savoy MG 12018 ) 音楽に限らず、文化・芸術の分野において、デビュー作にはそのアーティストの本当の姿が写っている、と言う。普通はその人の代表作と言われるものから入って、それが気に入れ…

エサ箱で拾いたい

Dick Haymes / Serenade ( 米 DECCA DL 5341 ) Harry James / The Man With The Horn ( 米 Columbia CL 2527 ) ディック・ヘイムズが好きなので、常時、彼のレコードがないかなと心のどこかで思いながらエサ箱を漁っている。イマドキこんなのは誰も聴かないか…

ステレオプレスで聴くのがいい盤

Milt Jackson Quartet / Statements ( 米 Impulse! A-14-S ) ヴァン・ゲルダーのステレオ録音の美しさを実感できる1枚。このアルバムはステレオプレスで聴くべき。ヴィブラフォンのシリンダーが響く音色が涼やかで何とも美しい。きらきらと輝きながら宙を舞う…

ガチ中のガチ

意表を突いたクラシックのレコード本だけど、私は面白く読んだ。ただ、これからクラシックを聴こうかという人は、ここに載っているアルバムを買うのは一旦止めておく方がいい。ここに載っているのは何十年もクラシックを聴いてきて、世に言う名演・名盤は一…

白ワインとパンが似合う音楽

Oscar Peterson - Stephane Grapplli / Quartet Vol.2 ( 日本コロンビア YX-7008-MU ) ステファン・グラッペリの演奏はたまに訳もなく聴きたくなる時があるので、何かいいレコードはないかなと常々思っていたら、これに当たった。とにかくペデルセンのベース…